「街がクラブを奪われる」ことを、あなたはどう思いますか? ベリーが示すフットボール界の閉ざされた未来 - EFLから見るフットボール

「街がクラブを奪われる」ことを、あなたはどう思いますか? ベリーが示すフットボール界の閉ざされた未来


※本文に入る前に、予め一つお詫びをしたい。それはベリーと同じく、現在進行形で事態が進行しているボルトンについて、この記事内では詳細な言及ができなかったからだ。

日本時間月曜日の夜、アドミニストレーターのポール・アップルトンから出された声明は、全てのフットボールファンの心に突き刺さるものだった。先行きが不透明な中で数ヶ月、数年という時を過ごし、突如として最後通牒を突き付けられたボルトンのファンの心情は、察するに余りあるものがある。

残念ながら私自身が、今後1,2週間ほど記事執筆に費やす時間が取れなくなってしまう関係で、今回の記事ではボルトンの詳しい状況についてまでは筆を進めることができなかった。しかし当然、ベリーとボルトンという偉大な2つのクラブがフットボール界からネグレクトされるようなことは、決してあってはならない。そして全てのフットボールファンが、彼らが何とか解決策を見出し、明るい未来を迎えられることを願っている。

た、この記事の執筆にあたっては、 "Guardian" 紙のDavid Conn記者の記事を多く引用した。Conn記者のベリー問題に対する報道には感嘆するほかなく、彼の取材によって数々の重大な情報が多くのファンにもたらされた。この一連の問題を語る上で、Conn記者の名前は避けては通れず、先にここで彼の名前を記しておく。

この文章を通して、一人でも多くの皆さんに2つのクラブが置かれた危機的状況について考えてもらえたら幸いだ。



19/20シーズンのEFLは、文字通り惨憺たるスタートを切った。マンチェスター・ユナイテッド、マンチェスター・シティの両雄がプレミアリーグでいつも通り煌びやかな話題を振りまく一方で、そこから10マイル程度しか離れていない場所にあるLeague Oneの2つのクラブが、消滅の危機に瀕したのだ。

1885年設立、ベリーFC1874年設立、ボルトン・ワンダラーズFC。ともにFAカップを複数回制している名門であるばかりでなく、他の全てのクラブと同様に、それぞれのホームタウンの人々の象徴として機能してきた気高き存在である。

開幕からの試合延期、自己保身に走るオーナーの醜聞、翻弄される現場とファン。20198月、白日の目に晒されたこれら一連の出来事は、今後のフットボール界を考えていく上で大いに有用なものであろう。
この教訓は、必ずや生かされなければならない。組織運営の在り方が変わっていくきっかけにしていかなければならない。だから私は、ここに日本語でその記録を残すことにする。

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【クライシス・クラブ】
このような状況にまで陥ってしまったからには、当然両クラブの状況に優劣をつけることはできない。1992年のメイドストーン・ユナイテッド以来出ていなかったリーグ追放という措置が、同じシーズンの8月に2つのクラブに対して検討されていること自体がまさに異常という他なく、それぞれのファンは心の底からの同情に値する。

しかしシーズンオフの動きが比較的水面下で進んでいた(=情報が少なかった)ボルトンに比べ、夏の間から盛んに取り上げられ、かつ先にここまでの状況に陥ってしまったのがベリーだった。そして今日、彼らのEFLからの除名が発表された。


最近では2002年にも破産を経験しているベリーが再び深刻な財政難に陥るのは、2013年、前オーナーのスチュアート・デイがクラブを買収してからのことだ。下のグラフからも明らかなように、その買収を境にしてクラブは大幅な赤字を計上するようになる。

PriceOfFootball.comより引用)

スチュアート・デイはブラックバーンに本拠を構える不動産業者で、学生寮のビジネスを行うグループ企業 “Mederco” のトップを務める人物だった。2012年、キャメロン政権下での大学授業料増額、学生ローン拡大に伴う大学の建設ブームに便乗したビジネスは当時順調に規模を拡大しており、元々100万ポンドの負債を抱えていたベリーを買収してからというもの、彼は非常に野心的なクラブ経営に乗り出した。

デイにとって誤算だったのは、すぐに彼のビジネスに大きな逆風が吹き始めたことだった。イギリス経済は悪化し、銀行からの融資は彼のような中小企業主までは行き届かなくなり、仕方なく(それ自身も後に金融行為監督機構の管理下に入った)クラウドファンディングタイプの機関に資金調達を頼ることになる。

経済悪化の大きな要因であるBREXITは、そもそもの顧客である外国人留学生にイギリスの大学を敬遠させることにも繋がった。また2017年のグレンフェル・タワー火災によって高層建造物のクラディング基準が変わったことで、ほぼ完成していたハダースフィールドの2つのブロックが急遽販売中止になる不運もあった。


“Mederco” からの借り入れという形でもベリーに資金を注入し続けたデイだったが、それだけでは施設のアップデート、新スタジアムの建設などという彼の野望を実現できず、外部からの借り入れにも手を出していく。

2014年、ホームスタジアムのギグ・レーンを担保に借り入れた100万ポンドには、月当たり10%、年利138%という利子が付いていた。後から判明したことだが、借り入れ先の “Capital” という会社はギグ・レーンをさらにマルタを拠点とする会社からのローンの担保としており、そのマルタの会社はヴァージン諸島(タックスヘイヴンの地)に登記している8つの会社から借り入れを行っていた。しかもベリーが借り入れた金額の内、40%は「紹介料」として正体不明のサードパーティーの手に渡っていたという。

しかしそんな状況の中でも、彼は建物を建設し続け、補強も続け、ローンを積み重ねていった。


201812月、デイは突如、ベリーを1ポンドでスティーヴ・デイルに売却したことを発表した。デイは「家族と過ごす時間を増やすため」と現役選手の引退時のような理由を取って付けたが、この時 “Mederco” は行政管理下に入っていた。

一方、ベリーのファンたちは、デイの退任を素直に喜べずにいた。買収の理由を「慈善的なベンチャー」だと語った新オーナーのデイルには、過去いくつもの破産状態に陥った企業を買収し、残った資産を収奪した上で、企業を解散・清算し儲けを出してきた「アセット・ストリッパー」としての経歴が見られたからだ。

就任後即座にその意図を否定したデイルだったが、一方で彼は買収後数日のうちに Bury FC Leisure Limited”“Bury FC Heritage Limited” という2つのクラブ関連会社を立ち上げた。そしてこの後者に、デイルはクラブがこれまでに獲得してきたトロフィーの所有権を移動させた。彼は「債権者代理の執行官による資産差し押さえから守るため」と説明した。

資金繰りは一向に改善せず、チームが昇格争いを繰り広げていた今年4月、クラブ関係者への給与が長期間にわたって支払われていないことがわかった。選手たちは一度はストライキも検討したが、最終的にはファンのために戦うことを選び、見事2位に入り1年でのLeague One復帰を決めた。


夏、イギリス歳入関税庁をはじめとする多くの債権者からの清算請求が続く中で、デイルはCVACompany Voluntary Arrangement)の手続きに入ることを画策した。これはイギリス倒産法の中で定められた手続きの一つで、経営者が債権者との間で直接今後の資金分配や事業再建計画などについてのアレンジメントを行う。

このCVAは、実行には債権(者)の75%以上の同意が必要となる(株主集会でも50%以上の支持が必要だが、ベリーの場合株主はデイルのみなので関係ない)が、その同意さえ得られれば反対を決議した債権者(担保を持つ“Capital”を除く)にも合意内容を認めさせることができ、プロセスにおいてアドミニストレーターのような存在が入ってくることもないため、従前の経営陣が体制を維持する上で有利な手続きだ。

デイルはこのCVAのプロポーザルにおいて、債権者に対しそれぞれの借り入れ額のうちの25%を返済することを提案した。つまり残りの75%については泣き寝入りしてもらい、負債総額を300万ポンド程度にまで減らすことで、クラブを再建しようというのである。


通常であれば、75%の支持を得ることはかなり困難に思える計画だが、債権者集会が当初予定されていた79日から718日に延期された間に、大きな動きがあった。

クラブ経営からは撤退したスチュアート・デイだが、彼が所有する “Mederco” は依然としてベリーの最大債権者のままで、その額は710万ポンドにまで膨れ上がっていた。これは全体の債権の84%にあたる額で、実のところ彼らの票がCVAの合意を決める状況だった。

718日(債権者集会当日)、行政管理下にある “Mederco” が持つ710万ポンドのベリー社債が、たった7万ポンドでクリス・リチャーズなる無名の人物が代表を務める “RCR Holdings” に買い取られた。この会社は716日に設立されたばかりで、当然これまで何の取引実績もない。しかし一躍ベリーの最高債権者となった彼らは、同日の債権者集会で賛成票を投じ、歳入関税庁やその他多くの債権者の反対票がありながらも、CVAは可決された。

決定が下された後、すぐにリチャーズの正体が明らかになった。彼は、スティーヴ・デイルの娘のパートナーだった。

また “RCR” の代理人として債権者集会に出席した弁護士のロバート・フェステンスタインは、過去に極右活動家のトミー・ロビンソンの動画に出演したことのある人物で、CVAを監督した会計士のスティーヴン・ワイズグラスは、過去に二度政府管轄の破産サービス部門から行政注意を受けている人物でもあった。



合意こそ強引に取り付けたものの、EFLはリーグ規定でCVAの成立を破産に相当するイベントとみなしているため、この段階で19/20シーズンの勝ち点-12からのスタートが決まった。
さらにCVAの成立後も、EFLのルールで定められているフットボールスタッフへの負債(給与未払い分)全額支払いの見通しが立たず、財源の調達計画をリーグに提出することができなかった。そのため、729日にEFLは開幕戦のMKドンズ戦の延期を発表し、その後も現在に至るまで試合の延期が続いている(カラバオカップは敗退扱い)。

89日には、リーグからの除名手続きの第一歩となる14日前の通告が行われ、財務計画の提出期限が823日に設定された。
そしてその期限を1週間後に控えた816日、 “talkSPORT” の番組内で、イングランドのフットボール史に残る悲劇的な応酬が繰り広げられたのだ。




電話越しにゲスト出演していたスティーヴ・デイルに対し、番組側が途中からベリーのMFスティーヴン・ドーソンとも電話を繋ぎ、クラブのオーナーと選手が直接対話する場が設定された。この放送をきっかけに、多くの人がベリーの置かれたあまりにも厳しい状況を認識することになった。

ドーソン「会長、聞いてください。はっきり言いましょう。あなたは何ヶ月も給料を払ってくれていませんよね。僕は何もかもを失う寸前です。何ヶ月もあなたが『クラブを救おうとしている』と言うのを黙って聞いているしかありませんでしたが、今の状況を見れば、あなたに出て行ってもらう以外にこのクラブは存続できません」

デイル「ドーソンくんに聞きたいのだが、最初から給料の半分は貰っているんじゃなかったのか?」

ドーソン「え? 給料の半分を誰からですか? PFA(選手協会)は2ヶ月分の給料を払ってくれましたけどね」

デイル「いや、彼らは4ヶ月分払っている。給料の半分を4ヶ月分払っているんだよ」

ドーソン「スティーヴさん、喧嘩がしたいわけじゃありません。嘘じゃないですよ。僕はPFAからローンとして2ヶ月分の給料を貰いました。あなたはここ6ヶ月の間に1回しか給料を払っていない。嘘じゃない」

デイル「PFAは私のリクエストに基づいて、スチュアート・デイの破滅が始まってから毎月君の給料の半分を支払っている。これは正しいか、正しくないのか、どっちなんだ?」

ドーソン「嘘だ」

デイル「なに?」

ドーソン「それは嘘だ。あなたは嘘を言っているし、僕はそれを証明できる」

ジム・ホワイト(プレゼンター)「選手やファンに少しでも希望をください。本当のことを言いましょう。ドーソンは本当に切羽詰まっていて、家賃も払えなければ家族を食べさしてやることも…」

デイル「あなたは本当にそんな言葉を信じているのか? ドーソンくんは家族に飯を食わせることもできず家から放り出されると? 本気で言っているのか? 全部話を盛っているに決まっているだろう。ドーソンくんは今後も今の家に住めるだろうし、家族を食わせていくこともできる!」

ドーソン「ほら、ほら。僕が言いたいことは全部今の発言に集約されていますよ、ジムさん。今の発言が彼がいかなる人間か、いかなる人格をそなえているかを象徴していますよ。どうやったら僕が絶対に家から放り出されないなんてことが彼にわかるんですか?」

デイル「それこそ君が私に言ってきたことと同じだ。証明してみろ、ドーソンくん」

ドーソン「証明しろ? あなたは何も証明してこなかったじゃないか! この6ヶ月、あなたはずっと金を持ってることを証明してこなかった! お前に金なんかないんだ、早くクラブを売れ! もし来週仕事を失ったら、僕の家はもちろんなくなる。これは嘘偽りのない男と男の会話だ。彼は6ヶ月間嘘をつき続けてきて、誰にも給料をよこしていない。もしクラブを売るチャンスがあるなら心からそうするようお願いしたい」

この放送があった日の午後、30年以上に渡ってベリーに勤めてきたクラブ秘書のジル・ネヴィル(ギャリー、フィル兄弟の母)がクラブに辞表を提出した。
デッドラインとなった823日には、朝から多くのファンがギグ・レーンに詰めかけた。クラブの元ダイレクター、ジョイ・ハートは、排水管に自ら手錠をかけて現経営陣への抗議を表した。彼女の父親であるレズさんは、選手、フィジオ、トレーナー、そして監督として、生粋のワンクラブマンとして1996年に亡くなるまで44年間ベリーにその人生を捧げた人物だった。

午前0時に設定されたデッドラインを前に、ファンの切実な思いが届き、長い間クラブを売り渋り続けてきたスティーヴ・デイルが遂に一件のオファーに合意した。買収主は “C&N Sporting Risk” というスポーツデータアナリティクスの会社で、メンバーにはトニー・ブレア政権下でスポークスマンを務めたアラステア・キャンベルの息子も含まれていた。

改善の可能性が見られたことで、デッドラインは一度延期された。火曜日には、長らく手入れされていなかったギグ・レーンで再び試合を開催するために多くのボランティアが集まって清掃を行い、ようやく見えた光を目掛けて全てのファンが前を向いた。そして新たなデッドラインとなったその日の午後5時の1時間前、突如として多くのメディアがこの一報を報じた。



あまりにも酷なニュースだった。希望は、完全に打ち砕かれた。

破談となった理由には、担保に入れられているギグ・レーンの問題と、「クラブ全体の財政状態」を解決するのが困難だったという説明がC&N側からなされた。加えて、この買収失敗はEFLから提示された期間のタイトさではなく、「何年間にも渡る長期的な経営の失敗」に起因するものだと彼らは断じた。


ファンは悲しみに暮れた。涙が滴り落ちた。怒りの声が鳴り響いた。827日、ベリーFC125年にも及ぶフットボールリーグでの歴史にピリオドを「打たれた」日。ギグ・レーンには、大粒の雨が降っていた。






【戒め】
同じデッドラインの日、ボルトンは生き残った。そして14日後、再び運命の瞬間が訪れる。その首はまだ、ギロチンにかけられている。

一つのクラブが失われる。125年間もの間築き上げたものが、突如無になる。選手や監督は移籍することができる。ではスタッフはどうだろうか。スタジアムの外のフィッシュ&チップスの屋台はどうだろうか。

ファンは、どうだろうか。



ぜひとも糾弾しておきたい事実がある。
それは昨年12月、スティーヴ・デイルスチュアート・デイから1ポンドでベリーを買収した時のこと。本来、EFLのクラブの買収手続きにおいては、新オーナーとなる人物はオーナーズ&ダイレクターズテストに合格し、かつ財源の証明を提出する必要がある。しかしデイルは、ついぞ最後に至るまで、その財源の証明をEFLに提出していなかったというのだ。


これはデイルの問題ではない。完全にEFLの責任問題である。財源、あるいは資金調達計画が確認できないオーナーについては、買収をブロックする権限が彼らにはある。というよりそうしなければ、何のためにこのようなルールが存在しようというのだろうか。


フットボールリーグにおけるオーナーの適性検査は、2000年代初頭、それこそベリーも含めた多くのクラブの破産ラッシュをきっかけに、各クラブの反対を押し切って導入されたものだ。逆に今では、プレミアリーグ、そしてEFLが定期的に巻き起こる政治的な規制の動きに対して「インディペンデントのルールが機能している」と主張しており、彼らの独立性を守る盾として使われている。

悪名高きショーン・ハーヴィーの退任後、新CEOが決まるまでの暫定責任者として業務を行っているデビー・ジェヴァンズは、今回のベリーとボルトンの件を受け、適性検査のシステムを見直すと約束している。現在のオーナーズ&ダイレクターズテストは事実上過去に有罪判決を受けた人物しか弾くことができず、その結果として、デイルやブラックプールのオイストンファミリーのようなオーナーが誕生してしまった。適用範囲の拡大については、リーグ内で昨年夏に合意しているものの、実効には未だ至っていない。

今回の件を受けて現行のルールを見直すのは当然だ。だが、それでも明らかに、明らかに、これは遅きに失した対応である。現実問題として、そのEFLの緩慢な対応が、ベリーという犠牲者を生んでしまった。


財務諸表が公表されている中では最新のシーズンである17/18シーズンの数字を見ると、EFL72クラブのうち、実に54クラブが年間収支で赤字を計上していた。昨シーズン、実に72クラブ中10%以上のクラブで、一度は給料支払いの遅れが発生していた。
これらの状況に見て見ぬふりをし、ダービーやアストンヴィラ、シェフィールド・ウェンズデイがやったような「スタジアムをオーナーに売る」という馬鹿げた方法での財源注入を今後も認めていくつもりならば、EFLは衰退の一途を辿るだろう。

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EFLという組織について語る上でいつも注釈をつける必要があるのは、EFLがクラブの代表者たちによって作られた集合体であるということだ。そして、これこそが最大の問題なのだ。オーナーたちが自らルールを作る上では、ある程度の自制心を持たなければ、健全な争いは生まれない。しかし今や大半のクラブに外国資本が入っている現状、成功を追い求めてやってきている外国人のオーナーが、果たしてそのような理性的な判断をできるだろうか。ファンを第一にした判断をできるだろうか。

だから、あのウェイン・ルーニーのルール逃れでしかない契約までもが成り立ってしまうのだ(しかも、あれをやったのはイングランド人のメル・モリスだ)。一定のルールがなければ、真の自由は、真の平等は訪れない。



今後は様々な議論が尽くされるべきだ。完全に独立した新たな大会オーガナイザーを立てることを本格的に検討する時期かもしれない。サラリーキャップはどうだろうか。昇格時の競争力が争点になるだろうが、その点はプレミアリーグと相談することも必要だろう。他のリーグの仕組みを見習うことだって有益なはずだ。

実現可能性ではなく、まずはとにかく何かを変えるという意識を持たなければならない。
ベリーのようになってからでは遅い。その教訓はまさに、我々がここ数日間の経験から得た、必ず忘れてはいけないことだ。

イギリスの社会、街のコミュニティにおけるフットボールクラブの役割については、今さら語るまでもない。今回のベリーのリーグ除名に際しても、地域経済に与えるダメージは計り知れない。そしてこの2クラブの惨劇が、ともにグレーター・マンチェスター州で起きたことは、やはり偶然であるようには思えないのだ。


ベリーというクラブが、いやベリーという街が、再び立ち上がる日が来ることを心待ちにしている。そしてこれが、イングランドのフットボール界が味わう最後の「消滅」の悲しみとなることを願ってやまない。

そのために私たちファンができるのは、声を上げ続けることだけである。

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